2019年09月12日(木)

料理/ワイン講習会

三大ボルゲリの一つ「グラッタマッコ」のワインを語る上で外せない"4大キーワード"

前回の記事でご紹介した、「グラッタマッコ」の日本ソムリエ協会分科会セミナー。

そのセミナーの中で、醸造責任者のルカ・マッローネさんはグラッタマッコ社のワイン造りの哲学を
『Puntare su non la qualità ma sull'identità(クオリティではなく、アイデンティティに焦点を当てる)』
と述べました。


彼らにとってハイクオリティ(高品質)な美味しいワインを造り上げることは、大前提であり、ワイン造りのスタート地点の考え方でもあるため、特筆すべきことではないと考えているのだそう。


ハイクオリティでありながら「これはグラッタマッコのワインです!」と言えるような、他社のワインとは違う、唯一無二のアイデンティティを持ったワインを醸造することこそが目標としていることなのだそうです。

そんな哲学を持ったグラッタマッコならではのワイン造りを実現させている、4大キーワードをご紹介します。

 
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▲コメンテーターを務めていただいたソムリエ協会監事荒井さんと、醸造責任者のルカさん

 

まず1つ目が『Terroir(テロワール)』
ワインのスタイルを決定づけるのはブドウ品種ではなく、そのブドウが育つ温度や気候、土壌、標高の高さなどの環境条件であることは、考えてみれば当たり前ではありますが、非常に重要なキーワードです。
グラッタマッコのワイン造りにおいて言えば、ブドウがナトリウムを豊富に含んだ石灰質土壌で栽培されていることによって、グラッタマッコのワインの特徴の中でも、最も大きな要素の一つである『ミネラル感・塩味』としてワインに表われています。


2つ目が『Viticoltura organica(有機栽培)』
グラッタマッコ社の考える「アイデンティティのあるワイン」とはその土地の正真正銘の姿を表した特徴のあるワインということ。
そうしたワインを作り上げるには原材料のブドウ栽培の時点で、なるべく人の手を加えない(除草剤や殺虫剤、化学肥料を用いない)ということが重要であるとルカさんは述べました。
そのため、グラッタマッコ社では病気対策などで使用する硫黄の量も、有機規定で定められた分量よりもはるかに少ない分量に抑えています。

 
   
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3つ目が『Sangiovese(サンジョヴェーゼ)』
国際品種で構成されたワインが有名なボルゲリ地区においてはアウトサイダーな品種と見なされているトスカーナ州の地ブドウであるサンジョヴェーゼですが、トスカーナらしさを表現したワインを実現する上では欠かせない品種であると、グラッタマッコ社は考えています。
サンジョヴェーゼの栽培に不向きと言われる水分を溜めやすい平地の多いボルゲリ地区の中でも、グラッタマッコは比較的高地に畑を持っているため、良質なサンジョヴェーゼの栽培が可能であり、それは大きな利点として彼らのワイン醸造に作用しています。さらに、そのサンジョヴェーゼを加えることによって上質な酸とエレガントさを持ったワインの味わいにも繋がっているのです。


そして4つ目が『Enologia artigianale(職人の手による醸造)』
これはブドウ栽培の段階で有機農法を採用し、可能な限り自然な方法でブドウ栽培を行っている状況を醸造の段階においても引き継いでいこうという考えです。
ティネッロと呼ばれる開閉可能式の木樽で、温度管理を行わず、職人による1日に1~2回のピジャージュのみを行い、アルコール発酵を行う。こうしたやり方こそが、『どれくらいタンニンを抽出しようか、色調はどの程度にしようか、酸はどれくらいにして、香りはどれくらいにしようか…』ということをブドウ自身に考えさせて、ワインを作り上げていく唯一の方法であるとグラッタマッコ社は考えています。

 
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▲ティネッロ

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▲ピジャージュをしている様子

 

グラッタマッコ社の目指す、
『Vino che esprime l’identita autentica di ogni terroir
(それぞれのテロワールの正真正銘のアイデンティティを表現したワイン)』
を醸造するための4大キーワード。


それぞれが複合して、グラッタマッコ社のこだわりの1本が造りあげられているのです。


これらを念頭に置きながら、グラッタマッコ社の“Vino che esprime l’identita autentica di ogni terroir”を試してみてはいかがでしょうか?

 
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  グラッタマッコ社について詳しくはこちらから

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