2018年03月 1日(木)

ワイン

歴史と革新のワイナリー"メリーニ"

今回、1705年創業のトスカーナ・キアンティ地方の老舗ワイナリー、メリーニ(Melini)を訪問してきた。
300年以上の歴史を持ちながら、常に革新的な取り組みを行うメリーニの魅力をご紹介したい。
 

 

カンティーナ.jpg

 

 

フィレンツェとシエナを結ぶ高速道路RA3をポッジボンシの街で降りて、車で東に10分走った場所にメリーニの大きなワイナリーがある。この場所は、ガッジャーノといって、ブドウ畑とオリーブの木に囲まれた風光明媚な丘陵地である。ワイナリーから南側には、遠目にシエナの街や、中世の塔で有名なサンジミニャーノが見える。
日本でも有名なキアンティは、キアンティとキアンティ・クラッシコでエリアが分かれるが、メリーニはちょうどその境界線のキアンティ側に位置する。所有するブドウ畑は、キアンティとキアンティ・クラッシコエリア双方で、約160ha。トスカーナで最初のクリュ(単一畑)ワイン、“ラ・セルヴァネッラ”の畑も、キアンティ・クラッシコエリアの中心部分、ラッダ・イン・キアンティの町の北側に所有している。

 

 

ワイナリーに入り、出迎えてくれたのは、メリーニ勤続29年のルチアさん。トスカーナの方言交じりで熱心にワイナリーの説明をしてくれる、とても親切なシニョーラ(女性)だ。
「もともとキアンティのエリアが制定されたのは、1716年コジモ・メディチ3世によるもの。今のキアンティ・クラッシコのエリアにあたります。メリーニは、それ以前からワイン造りを行っていた歴史あるワイナリーです。メリーニという言葉は、ファミリーの名前で、創業から血筋の途絶える第一次世界大戦後までファミリーによる経営が続いていました。今は、グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニというイタリア各地の名ワイナリーを所有する会社が、この歴史あるワイナリーを引き継いでいます。」

 

 

木樽.jpg

▲メリーニ家の紋章を彫り込んだ木樽

 

 

 

ワイナリーの会議室に入り、ずいぶん昔の賞状を見せてくれたルチアさん。

ルチアさん.jpg

 

 
「これはフィレンツェの商工会議所から1878年に贈られた金メダルの賞状です。当時のオーナーであるラボレル・メリーニ氏は、トスカーナのガラス職人と一緒にアネッロ(指輪)というボトルの口の部分を補強するボトルフォルムを考え出し、これにより世界にキアンティのワインを輸出することができたのです。
キアンティワインのボトルは昔、フィアスコボトルという麦わらを巻いた下部にふくらみのある、首の細長いものでした。これでは、当時のコルクを打ち込む機械ではボトルが破損していたのです。」

 

 

そのような革新的な試みは、現代のメリーニにも受け継がれている。
昨年メリーニは、フラッグシップワインである“ラ・セルヴァネッラ”キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァなどを寝かせる大樽の熟成庫に大幅な投資を行った。1970年代から使用していた大樽を処分し、新しく2000L、4000L、12200Lの中~大樽を揃えたのである。
購入した樽の数は、なんと全体の約3割に当たる121樽。古くなった樽の品質を確認しながら、定期的に樽を入れかえている。

 

 

熟成庫.jpg

▲中~大樽が並び、床には町の伝統的なレンガが敷き詰められた熟成庫
 

 

 

ワイナリーの統括責任者でエノロゴでもあるアレッサンドロ氏が説明してくれた。

 

「熟成庫の床は、トスカーナ・インプルネータの町の伝統的なレンガを使用しました。このレンガは、かの有名なブルネレスキによるフィレンツェのドゥオーモのクーポラの屋根に使われ、また歴史的にトスカーナのワイナリーの熟成庫にも使用されてきたもの。土地の伝統にこだわるメリーニの方針です。ちなみに今回の新しい樽には NIRシステムという最新のテクノロジーを使用しました。これはもともとウディネ大学のワイン醸造・食品テクノロジー分野の研究者によって開発されたものですが、樽の性質を、甘み、スパイス、骨格、バランスの4つのパラメーターとして数値化し、その組み合わせを変えることで、自分たちが理想とする熟成をさせることができます。
樽の木材は、その生育する環境により、他の植物と同様、性質が異なります。その異なる性質を最新の技術で分別し、ワイン造りに活かすのがこのNIRシステムなのです。また、大樽だけではなく、2000L、4000Lの中樽も交えてより複雑な個性を出すワイン造りをしています。」

 

 

トスカーナの伝統を大事にしながらも、グルッポ・イタリアーノ・ヴィーニというグループの強みを生かし、このような最新の技術を駆使した手法への挑戦や研究にも余念がない。伝統と革新の融合、この相乗効果によって生まれたメリーニ社の自慢のワインたちをぜひ味わってみていただきたい。

 

 

 

次回は、メリーニ社を象徴する単一畑のフラッグシップワイン、“ラ・セルヴァネッラ・キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ”について特集する。

 

 

 

 
 

カテゴリーを選ぶ

過去のVENTO2003~2013年までのバックナンバーはこちら