2018年07月17日(火)

ワイン

『アヴィニョネージ社の高貴なるワイン』

イタリアは映画の世界でも傑作が多い。名優ロベルト・ベニーニが脚本・監督・主演し、カンヌ映画祭で審査員グランプリを獲得した『ライフ・イズ・ビューティフル』(伊題:La vita e’ bella/1997年)もイタリア映画の中で忘れてはいけない一本ではないだろうか。きっと観たことがあるという方もさぞ多い作品だろう。
この映画の舞台になったトスカーナ州の町アレッツォからほぼ南に30kmほど行ったエリアでトスカーナ州を代表するワインの一つが造られている。
その名も“ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ”(以下:ヴィーノ・ノービレ)。
邦訳すれば『モンテプルチアーノの高貴なるワイン』

 
   
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▲アグロノモのアレッシオさん

 

「ワイナリーとしての創業は1974年ですが、私達の醸造所はヨーロッパでも最古のもののひとつです。ワイン作りの歴史はとても長いですね。」
「ヴィーノ・ノービレは海外での知名度はまだ十分ではないかもしれません。しかし、イタリアではブルネッロ・ディ・モンタルチーノやキアンティ・クラッシコに並び称され、トスカーナを代表する銘醸ワインなんですよ。」

そういいながら彼はワイナリーの隣にある畑まで案内してくれた。
「ここが私達の畑の一つです。私達はヴィーノ・ノービレの生産区域の色々な場所に広く畑を持っています。実は、ヴィーノ・ノービレが作られるこのエリアは少し移動すると土壌の構成が大きく変わるんです。そういう点ではバローロエリアに似ています。私達の強みの一つは、今私達がいるヴィーノ・ノービレのエリア東側だけではなく、エリア内の様々な場所に畑を持っていることです。つまり、それぞれのエリアの特徴を反映したワインを作ることも出来るし、エリア全体の特徴を包括したワインを造ることも出来るのです。ヴィーノ・ノービレのエリアにこれだけ広く畑をもっているのは、私達アヴィニョネージ社だけですよ。」

ヴィーノ・ノービレの土地を包括的に表現しているという点で、ヴィーノ・ノービレを初めて飲む方には、まずアヴィニョネージ社のヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノを試して頂きたいところだが、アヴィニョネージ社のワインの特徴はそれだけではない。

アレッシオさんはこう説明してくれる。
「2009年からビオディナミ(バイオダイナミック)農法で畑を管理しています。フランスの名だたる有名シャトーも近年取り組んでいる農法ですね。」

 
   
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▲ビオディナミ農法について語るアレッシオさん

 

ビオディナミ農法は畑の手入れの根本的な考え方が従来と違う。普通はブドウ畑が病害に掛かりそう、もしくは病害に掛かっている際に、この病害にどうやって薬を与え、どうやって取り除くかを考える。しかしビオディナミでは、その病害が発生してしまうような畑の環境を理解し、畑そのものを健康な状態、エネルギーが満ちた状態に戻すことが重要と考える。そうなれば、病害にも掛かりづらい生命力に満ちた畑環境になる、という理論だ。畑をエネルギーに満ちた状態にするために、独自の肥料(ビオディナミ農法では調合剤と呼ばれる)を作り、畑に与えていく。

 「私達は、様々な畑の手入れ方法をいくつも試し、このビオディナミ農法が最も土地を元気にし、ブドウ本来の味わいを良く表現できる方法だと確信して、今では私達の所有する全ての畑をビオディナミ農法で管理しています。ほら、土を触ってみて下さい。とても柔らかいでしょう。畑の緑色も鮮やかで強い生命力が見て取れます。この畑、この土地が、本当のヴィーノ・ノービレですよ。」
 アレッシオさんは自慢げに、土を触り、緑の葉を触って説明してくれる。確かに彼らの畑は足を踏み入れる感触が違う。ブドウの木だけではなく、雑草の緑までもが力強く鮮やかだ。

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▲鮮やかな緑色から、畑の健康状態が感じられる。

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イタリア中部トスカーナ州は世界中のワイン愛好家をとりこにしてやまないワイン産地の一つだ。ブルネッロ、キアンティ・クラッシコ、ボルゲリ・・・誰もが耳にした事のある銘醸地がひしめき合う。
 その中でも忘れてはいけない銘醸ワイン、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ。まずはアヴィニョネージ社のヴィーノ・ノービレを飲んでみて頂きたい。華やかなブドウ本来の香りと一緒に、生命力に富んだ土地や土壌に秘められた熱量が感じられるような、ふくよかで厚みのある香りが広がる。ブドウの力強さが味わいの中にも生き生きと感じられ、心地良い余韻が続く。アヴィニョネージ社のワインは、その土壌、畑を表現しているワインとはいったいどんなものなのかを、きっと雄弁に、飲み手に教えてくれることだろう。

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