ナポリのカフェ文化

ナポリのカフェ文化

ナポリがエスプレッソ発祥の地、エスプレッソの聖地と言われる所以はいったい何なのでしょうか?
また、イタリアンカフェの本場での、ナポレターノ(ナポリ人)ならではのコーヒーの楽しみ方もご紹介します。

エスプレッソの聖地ナポリ「エスプレッソ発祥の地」「エスプレッソの聖地」と言われているナポリ。ナポリの町を歩けばバールでコーヒーを立ち飲みしながら、バリスタや友人とおしゃべりを楽しむ人々を沢山見かけます。なぜナポリはこれほどまでにコーヒーと強い繋がりがあるのかを解明するために、イタリア北部の人々とナポリの人々にそれぞれインタビューをしてみました。

Q1
どのような時にコーヒー
を飲みますか?
イタリア北部の人々:
「食事のしめくくりとしてコーヒーを楽しむ」という回答が大多数であった。
ナポリの人々:
ほぼ全員が「一日に何度も飲む」と回答した。

1人の男性は、「朝起きた後に飲むカプチーノはその日一日を頑張るエネルギーを得るため、午前中や食後・午後に同僚や友人と飲むエスプレッソは仕事の良いアイディアを出し合うため、夕方にバールで飲む一杯は仕事終わりに仲間達とリラックスするため、食後に飲む一杯はその日一日を頑張った自分へのご褒美のためだ。」と答えた。

ナポリの人々にとってコーヒーは、日々の生活とは切り離せない“儀式”であり、周りの人々とリラックスした幸せなひとときを共有する手段です。近年イタリアでは、コーヒーは「社会生活の中で周りの人々と喜びを共有するための手段」として捉えられ始めていますが、ナポリの人々はずっと昔からこの習慣を取り入れていました。

Q2
あなたにとって特別なコーヒーの
ブランドはありますか?
イタリア北部の人々:
35%の人々がひいきにしているブランドがあると回答した。その他65%は特にブランドにはこだわらないと答えた。
ナポリの人々:
63%の人々がひいきにしているブランドがあり、
「キンボ」という回答がトップであった。
ナポリの人々はコーヒーが大好きなだけでなく、「どこのブランドか」にもこだわりがあるようです。

ナポリ流エスプレッソの飲み方

「ナポリのエスプレッソを飲むと、今までにない新たな体験をすることが出来る。」
「ナポリのエスプレッソを他の土地で再現することは不可能だ。」
と、うたわれるようにナポリの人々は「コーヒーの専門家」として認知されています。
イタリア人に美味しいエスプレッソを飲める街はどこかと聞くと必ずナポリと答えるように、ナポリのエスプレッソは飲む人に喜びと感動を与えます。
ここではナポリ流のエスプレッソの飲み方をご紹介します。

  • 【ポイント1】こだわりのダークロースト
    イタリアのコーヒーのローストは一般的にシティローストからフルシティローストが主流ですが、ナポリ伝統のエスプレッソはそれらよりさらに深いダークローストです。このこだわりのローストによって厚みのある濃厚なボディを楽しむことができます。
  • 【ポイント2】少ない抽出量
    イタリアでは一般的に25~30mlのエスプレッソを好んで飲みますが、ナポリでは20~25mlとより少量にすることで、さらに味わい深い、濃厚なエスプレッソを飲む習慣があります。ナポリの人々の中には、さらに少ない量のエスプレッソをバリスタに注文して飲む人もいます。
  • 【ポイント3】沢山の砂糖をいれる
    濃厚でフルボディ、ダークローストのエスプレッソに合わせて、より多くの砂糖をいれて飲むのもナポリスタイルです。 1袋約4~6gの砂糖を一気にカップへ流し込み、スプーンで30~50回かき混ぜてしっかり乳化させるとチョコレートやキャラメルの味わいになります。これはチョコレート好きなナポリの人々ならではのこだわりです。バールでは、エスプレッソが提供されるのを待ちきれず砂糖の袋を開けて待っている人たちをよく見かけます。そして混ぜ終わって完成されたエスプレッソを2~3口で飲み干しすぐに立ち去ってしまいます。
秘密のレシピ
Crema della Nonna
(クレマ・デッラ・ノンナ)
エスプレッソに沢山の砂糖を入れて長い間混ぜ続けているとだんだんクリーム状になり重さが出てきます。これがそれぞれのバリスタが独自で秘密のレシピを持っているナポリ伝統の調味料、「クレマ・デッラ・ノンナ」です。ジェラートやババ、ブリオッシュなどにかけると本場ナポリのドルチェの出来上がりです。

ナポリ人とエスプレッソ

ナポリ特有のカフェ文化
Cuccuma(クックマ)
多くのナポリのバールや家庭では「クックマ」と呼ばれる道具が使用されています。
現在イタリアのバールではエスプレッソマシンが、家庭ではマッキネッタが主流ですが、これらが発明されたのは1900年代になってからです。エスプレッソマシンやマッキネッタが誕生する遙か昔からナポリの人々はクックマを使用してコーヒーを飲んでいました。ナポリのバールや家庭では、今でもクックマを使用してコーヒーを優雅に楽しむ人々を沢山見かけます。
ナポリ特有の
昔からの風習
Caffè Sospeso
(カッフェ・ソスペーゾ)
ナポリ人は昔から困った人を見かけると手助けをしたくなる非常にあたたかい心を持っています。カッフェ ソスペーゾ(保留コーヒー)はこのナポリ人の気質から生まれたもので、バールで、次に来る人、または普段はエスプレッソをバールで飲めない人達のために、あらかじめ2杯分の料金を払ってそのうちの1杯をその人達のために使うようにバリスタにたのみます。現在では、この風習は募金としても広がっています。
エスプレッソと
1杯の水の関係
ナポリのバールでエスプレッソを注文すると必ず小さなグラスで水が一緒に提供されます。これは濃いエスプレッソで喉が乾くからではなく、始めに水を口に含んで口の中をきれいに洗い流し、リフレッシュし、その後おいしいエスプレッソを飲んで、一層味わいを楽しむためなのです。もしエスプレッソを飲んだ後で初めて水を飲んでしまうとバリスタからはナポリの流儀でないと注意を受けてしまいます。
こだわりのレバー式
エスプレッソマシン
イタリアのバールでは、常に最新式のエスプレッソマシンが導入されており、最新の技術を駆使したエスプレッソが提供されています。それに対して、ナポリでは、60年以上前から変わらないレバー式のエスプレッソマシンが多くのバールで使用されています。そしてエスプレッソはこのレバーマシンで最良の味わいになるようにロースト・ブレンドされています。熟練のバリスタたちによる技術がなければ、このレバー式エスプレッソマシンは操ることが出来ず、バリスタがスペシャリストである所以を感じることができます。
またイタリアでは一般的にエスプレッソには7gのコーヒー豆を使用しますが、ナポリではレバー式エスプレッソマシンを使用する場合、8gの豆を使用します。これはレバー式エスプレッソマシンが一般的なエスプレッソマシンよりも高圧で、より濃厚で味わい深いエスプレッソを抽出するためです。
あらかじめエスプレッソカップに砂糖を
ナポリのバールの中には、お客様にエスプレッソを提供する前にあらかじめカップの中に砂糖を入れるお店があります。これは、ナポリ気質であるお客様のために最大限の接客を行うことから始まったサービスの一つです。