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2006 夏号魅惑のイスキア島(カンパーニア州) Isola di Ischia

イタリアもようやく春を迎え、気温も上がってきました。ここ最近はコートも不要でシャツにジャケットだけの服装が当たり前となっています。僕は湿気の少ない地中海気候下にあるイタリアの春が好きなのですが、実はもう2ヶ月もすれば暑い夏がイタリアにもやってきます。

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この時期からイタリアのリゾート地では夏を目前に控えて本格的なシーズンが始まります。わたしたち日本人にも良く知られているイタリア有数のリゾート地といえば、カプリ/Capri島でしょう。カプリ島には今年、3月に仕事で行ってきましたが、天気が良かったせいもあり、3月にも関わらずナポリからの船は観光客で溢れ返っていました。夏になれば歩くのも苦労するくらい、この小さい島は混雑します。この喧騒をよそに実は比較的静かなゾート地がカプリ島の近くにあります。それは、イスキア島とプロチダ島。ナポリに住む人々は夏の混雑するカプリ島を避け、観光客の少ないイスキアやプロチダに行く人も少なくないようです。

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このイスキア島はカプリ島よりも大きな島で、人口はカプリ島の5倍強の約55000人が住んでいます。
観光に頼りがちなカプリ島とは異なり、多くの産業に恵まれているのがイスキア島の特徴です。特に有名なものは温泉!温泉の泥を使った女性用のエステなどはこの島では盛んに行われており、各大型ホテルにはエステサロン等が付設されています。また土地の少ないカプリ島では難しい、ワイン造りも盛んに行われています。

風が強く、また南イタリア特有の天候でありながらもエポメオ山という標高約800mの山の南西の斜面で栽培されブドウは、ミネラル分豊かな個性的なブドウです。代表的な地場品種、ビアンコレッラ/Biancorellaやペッレ・パルンモ/Per'e Palummoなどが多く栽培されています。

イスキア島の伝統的な料理!ウサギ!

このイスキア島の料理はナポリで見られる魚介を多く使用した料理と殆ど変わりないのですが、これらの料理にはビアンコレッラ/Biancorellaという白ブドウで造られた白ワインがとてもよく合います。 その他、特筆すべき、この島の有名な料理に穴ウサギ料理があります。昨年、イスキア島のワイナリー訪問した際に、『特別料理』として振舞われました。私もイスキアのウサギは知っていたのですが、実際に料理として食べたのは初めての経験でした。
このウサギ、イタリア語では正式には『Coniglio da fossa di Ischia/コニーリオ・ダ・フォッサ・ディ・イスキア』と呼ばれ、直訳すればイスキア穴ウサギとでも言いましょうか。。。。 要するに穴に生息する野生のウサギのことです。伝統的にはこの島特有の石作りの家を建て終えた後、その労をねぎらうお祝いとして振舞われた伝統的な料理です。

海面に面したブドウ畑

この穴ウサギ、その名の通り、穴の中で半放し飼い状態で飼育されます。

3〜4mの深さの穴にウサギを入れます。するとウサギ自身が四方八方に穴を掘り始めます。この半放し飼い状態されたウサギは籠の中で飼育されたウサギより肉により旨みが出ます。今でこそウサギも通常市場に出ているウサギとの交配品種が殆どですが、昔は『Liparina/リパリナ』『a'Paregn/パレン』と呼ばれるイスキア島だけに住むサイズの小さな原種が主でした。 いずれにしてもこの方法で飼育される穴ウサギは今では飼育場も減り、家庭内の消費用か島内の一部の肉屋でのみ扱われる非常に珍しいものになっています。

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それでは実際にどのような料理にされるのでしょうか?

穴ウサギは頭・尻尾を含めて丸ごと調理されます。10等分に切られた肉を『Sartana/サルターナ』と呼ばれる銅製の鍋でニンニクと一緒に狐色になるまで炒めます。その後、『Tiano/ティアーノ』と呼ばれるテラコッタ製の鍋に移し、白ワイン、ミニトマト、パセリ等を加えて煮込んでいきます。最も貴重とされる肝の部分は事前に処理され、鍋の中で煮込みます。
またこの煮込み時に出たスープはパスタのソースとしても使用できます。
この料理には、まさにイスキアの黒ブドウPer'e Palummoで造られた赤ワインが最適だと思います。

穴の中で半放し飼い状態で育ったウサギの肉は思いのほか硬すぎず、旨みがありむしろ弾力ある素晴らしい肉質でした。またウサギを丸々一匹使用することにより旨みのあるスープは今まで食べたウサギ料理を覆すほどの美味しさでした。
皆さんも運がよければこのウサギ料理に遭遇するかも知れませんね。

<ミラノ事務所 宮西>

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