皆さんBuongiorno!
ミラノは燦々と降り注ぐ太陽のおかげでオーブンの中のような暑さになっています。しかし、これからが夏本番。イタリアはとうとうバカンスシーズンに突入しました。
ミラノはこの時期、ゴーストタウンさながら外を出歩く人がほとんどいません。皆、広大な海、または静かで涼しげな山中での生活を求め、ミラノから抜け出してしまいました。
さて、今回はそんな夏真っ盛りのミラノから、イタリアにおける夏の風物詩を皆様にご紹介したいと思います。
イタリアを代表する野菜といえばトマト。そのトマト産業が最も活発になるのが8月です。モンテ物産取り扱いのホールトマト缶、ダイストマト缶も含め、トマト缶製造工場では一年分をこの時期にまとめて製造しますので、工場はフル稼働です。
トマト畑にも真っ赤に熟れたトマトがたわわに実っています。
しかし、このトマトの出来もやはり天候に左右されます。雨が多かったり、寒すぎたりするとトマトの発育に多大な影響を及ぼします。ですので、4〜5月に苗を植えてから8月に収穫するまで、トマト生産農家にとっては非常にデリケートな期間といえます。
トマトの生産量が最も多い州はプーリア州で、次がエミリア・ロマーニャ州です。プーリア州はオリーブの生産量がイタリアで最大であることからも、農作物の栽培に非常に適した土地であることが伺えます。
また、南イタリアでは、カンパーニャ州もトマトの生産地として有名です。
このトマトですが、赤くなっていれば何でも良いというわけではありません。モンテ物産の取引している工場では、毎朝大型トラックによって届けられるトマトの品質を社長直々に確認します。傷んだトマトが多かったり、雨に打たれて腐ってしまったトマトが多い時は購入しません。その場合は容赦なく引き取らせます。
せっかく運んできたトマトをそのまま積んで帰らなければならない運転手さんの無念さは、トラックへ戻っていく寂しい背中からも伝わってきます。しかし、これも品質と信頼性の高いトマト缶を日本に届けるためと、社長は心を鬼にしてトマトを確認しています。
工場に届けられたトマトは湯剥きされ、イタリアの熟練されたマンマ達によって選別されます。これはやはり機械には任せられない大事な工程です。
マンマ達は陽気に歌を歌いながら作業をしています。そんなに陽気に働いていては手元が疎かになるのではないかという心配は無用です。
長年同じ工場で働いているベテランマンマ達の手は目にも止まらぬ速さでトマトを選別していきます。
簡単に作ることが出来るように思えるトマト缶ですが、そこには色々な人の思いや苦労が詰まっています。
今年も皆様に良いトマトを届けられるよう、社長同様、私も心を鬼にしてトマトを選別してきます。
打って変わって、今度は甘いお話に移りたいと思います。
日本で夏に食べる甘いものといえば、まず浮かぶのがカキ氷でしょうか。
イタリアではやはりジェラートです。
昼間から老若男女問わず、ジェラートを頬張っている姿は日本ではなかなか珍しいですが、イタリアでは日常の風景として当たり前のように馴染んでいます。
ウィンドウに飾られた色とりどりのジェラートを見ているとその誘惑に負けてついフラっと立ち寄ってしまう気持ちもよく分かります。
ジェラートといえば、コーンかカップで食べるのが主流です。
しかし、このジェラートもイタリアの中でも特に異国情緒あふれるシチリア州では少し形を変えて食べられます。それがBrioche con Gelato(通称:パン・ジェラート)です。
黒糖パンのようなほんのりとした甘味のあるパンにタップリとジェラートをはさんで食べます。そのボリュームたるやご覧の通りですが、このパンとジェラートとの相性がなかなか良く、意外とすんなり食べられます。
このパン・ジェラート、最近ではサレルノの街でも見かけられるようになりました。本場のパン・ジェラートとは少々異なりますが、ミラノのジェラート屋Margheraでも味わえます。
皆様もシチリア州を訪れた際には、一度、騙されたと思って食べてみてください。お腹の満足度は日本のアイスクリームの比ではありません。
さて、今回はイタリアの夏を代表する風物詩を皆様にご紹介しました。トマトを多く食べる分には健康に良いですが、くれぐれもジェラートの食べすぎにはご注意を・・・
では、Buon appetito(たっぷりお召し上がりください)
<モンテ物産 ミラノオフィス 稲田 俊介>