ピエモンテは、イタリアの空の玄関口ミラノ・マルペンサ空港から車で1時間半のところに位置し、フランス国境にも近いため、様々な面でフランス文化を色濃く受けたエリアでもあります
2006年、冬季オリンピックで脚光を浴びたトリノを州都とし、バローロ、バルバレスコといったイタリアワインの中でも特に名の知れたワインを輩出する銘醸地。そんなしっかりとした高貴な赤ワインに合う、素晴らしい食材の産地としても有名な州です。
イタリアに来られた方の中でもピエモンテ州は一度は行かれた方も多いのではないかと思います。それでは皆さんはピエモンテ州の秋の味覚と言えばどういうものを想像されるでしょうか?
ここピエモンテには沢山の秋の味覚があります。例えば白い宝石とも呼ばれる白トリュフ。秋から冬にかけてレストランでは白トリュフをふんだんに使った料理が振る舞われます。毎年11月頃から出荷が始まる白トリュフは、高貴な香りが特徴で、ウンブリア州などで良く採られる黒トリュフの数倍の値段がつけられます。冬にはピエモンテ州のアルバという街でトリュフ市が催され、数多くの観光客でにぎわうなか、沢山の白トリュフが販売されます。
次に挙げられるのがポルチーニ茸でしょう。
ピエモンテだけでなくイタリア中で採られるポルチーニ茸、日本のマツタケ同様、食欲をそそる独特の香りはイタリアだけでなく世界中の食通を虜にしています。秋から冬にかけてはパスタに和えたり、もしくはそのまま丸ごと焼いてサービスされたりします。
キノコのほか、ピエモンテはヘーゼルナッツや栗の名産地として有名です。ピエモンテのヘーゼルナッツはNocciola di Piemonte(ノッチョーラ・ディ・ピエモンテ)と呼ばれ高品質なことで知られています。このヘーゼルナッツを使ったトローネというお菓子はあまりにも有名です。
またピエモンテ州西側、フランス国境に近いクーネオという街の周辺に広がる栗林で採れる栗も有名です。柔らかな甘さと栗特有のきめの細かい渋さのバランスが非常に良く、焼いて食べたり、リゾットなどの中に入れたり、又はマロングラッセ等の加工品としても使われています。
これらの秋の味覚食材を使って地元のレストランでは料理が振る舞われます。この時期、ピエモンテのレストランは最も混み合う時期です。特にピエモンテは何処のレストランも素晴らしく美味しい料理を提供していますので、私個人的にもやはりこの季節には必ず行きたい場所のひとつです。
それでは実際、どういった料理があるのでしょうか?
例えばSecondo料理では
鳩や猪などの肉を使ったジビエ料理などが有名で、バローロ等の赤ワインには驚くほど合います。また年中提供されますがRazza Piemontese(ラッツァ・ピエモンテ-ゼ)と呼ばれるピエモンテの土着牛も有名です。ビステッカにしたり、またBattuta(バットゥータ)と呼ばれ、タルタルにした肉を生でオリーブオイル、レモン汁、塩コショウを少しかけたものも多く食べられます。
一方でPrimo料理は
Tajarin(タヤリン=Piemonteの方言でタリオリーニ)という手打ちのパスタを使ったPrimo料理があります。これは個人的にも大好物な料理です。このTajarin、1年を通じてラグー等のソースでシンプルに地元のレストランでは提供されるこの地方の伝統的なパスタです。いわゆるタリオリーニよりももっと細くやや縮れた手打ちのパスタは独特の食感をもち、白トリュフとの相性も抜群です。
日本はまだまだ残暑厳しい季節かと思いますが、ぜひこの秋イタリアに来られる方はピエモンテまで足を伸ばされてはいかがでしょうか?ブドウの葉っぱが色づく頃、それはピエモンテの秋の味覚が揃いだす時期です。
<ミラノ事務所 宮西>