イタリアも秋が深まり、冬の訪れを感じるようになりました。ブドウの収穫も終了し、これらのブドウは早ければ来年、またはそれ以上の長い年月を経て私たちの元に運ばれるのでしょう。そして秋から冬にかけては、イタリアでも日本同様赤ワインが一番消費される時期です。数年前に収穫され、長い歳月を醸造所で過ごしたブドウが日の目を見るのです。
さて私の場合、赤ワインを飲むとどうしても食べたくなるのが、サラミ、またイタリア語でCacciagione(カッチャジョーネ)、Salvaggina(セルバジーナ)といわれる、野禽獣の肉を使用したジビエ料理です。ここイタリアでもこの時期からジビエ料理が各地方のレストランで提供されます。これらの野禽獣たちは冬に備えて木の実や虫などを食べ、栄養を蓄えていき、その肉は脂が乗り、硬くなっていきます。これを弾力のあるジューシーな肉質に熟成させ、野趣あふれる料理に作り上げるのです。料理は古典的な調理法が一番といわれています。種類にもよりますが、ローストと煮込みが代表的。野生ゆえ、くさみや血の処理に工夫が必要です。鳥類は特徴が出やすい内臓を味わってみてください。一年のうちでこの時期にしか味わえないジビエ。食べやすいものから香りの強いもの沢山あります。
主に食べられるものとして、野鴨(Anatra salvatica)、ヤマシギ(Beccaccia)、キジ(Fagiano)、ガチョウ(Oca selvatica)、うずら(Quaglia)等の野禽類、そして猪(Cinghiale)、鹿(Cervo)、野ウサギ(Lepre)等の野獣類です。これらはいつでも食べられるわけではなく、解禁日がきちんと決められています。
次に、ワインと共に食べたくなるのは、チーズといったところでしょうか。日本ではモッツァレラ、リコッタ、パルミジャーノ、マスカルポーネ、ペコリーノ、タレッジョ等が有名ですがこれ以外にもフランスに負けず劣らずイタリアには様々なチーズがあります。毎年9月にSlowfood発祥の地とされ、イタリアのワイン・レストランガイドでも有名なGamberoRossoの出版元の本部のあるBra(Piemonte州)という町で『Cheese』というイベントが行われます。ここにはお膝元のPiemonte州だけでなくイタリア各地からチーズの生産業者が一同に介します。
私も昨年、参加してみましたが、このイベントはBraの町中にチーズの生産者が屋台を設け、数日間、開催されます。一般消費者向けのイベントになっており、チーズのほかにサラミやその他の各地方の特産物が販売される、見た目にも非常に楽しいイベントです。
ここに訪れる人々は思い思いのチーズを買い込み、自宅、または友人宅で赤ワインとともにパーティを行うのでしょう。
<ミラノ事務所 宮西>