皆さん、はじめまして。
今年からタンティリアを担当させていただきます。ミラノオフィス駐在の本田と申します。皆さんのもとへイタリアから楽しい生の情報をお届けしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
タンティリアが皆さんのお手元に届く頃は初春の3月ですが、この原稿を書いている時点では、ミラノはまだまだ寒さが厳しい1月です。先日は朝の通勤時に水たまが凍っているのを久しぶりに見ました。そんな寒い時期、日本では季節の料理と言えば、おでん、かに、しゃぶしゃぶなどの「鍋料理」です。テーブルの真ん中に置いた大きな鍋を皆で囲んでワイワイつつくのは本当に美味しいですね。最近でこそ「日本食ブーム」のおかげで一皿を分けて食べることに違和感を感じないイタリア人も増えてきましたが、残念ながらイタリアにはいわゆる日本の「鍋」のようなものはありません。
そのかわり、イタリアでは冬の時期にはレストランのメニューに「煮込み料理」が並びます。食材も「ジビエ」と呼ばれる鹿、野うさぎ、イノシシ、野鳥などから豚、牛などまでバライエティに富んでいます。煮込み方も、白ワイン、赤ワイン、チーズなどをベースに様々です。赤ワインで煮込む「イノシシのバローロ煮」などはご存知の方も多いかと思われます。
先日もミラノでロンバルディア料理を提供するトラットリアに行く機会がありましたが、そこでも地元料理の豚肉とキャベツの煮込み料理「Casseulaカッソーラ」が大人気でした。これはソーセージ、耳、頭、足などの豚の各部位をニンジンやセロリなどの香味野菜とちりめんキャベツで煮込む昔から伝わるロンバルディア州の郷土料理です。お味のほうはというと、じっくり煮込むため、野菜の甘味が出ていて、ヴォリュームがあるのに飽きません。その甘味のせいか、少し日本の豚の角煮に似ているような感じがしました。生ハムやサラミのように、イタリアでは「豚は神様からの贈り物」と考えられている為、無駄なく料理されます。豪快なヴォリュームにも関わらず、隣のテーブルではおばあちゃんの誕生会でおじいちゃんを筆頭に家族揃ってこのカッソーラを食べていました。
しかしイタリアの夏も日本に負けないくらいの暑さのため、これらの煮込み料理は夏には一部を残してメニューから消えてしまいます。日本同様、イタリアも四季がハッキリしていますが、レストランのメニューからも四季を感じる事ができるのが楽しい点です。
メインの煮込み料理と言えば、面倒、難しいというような印象がありますが、実際はそうでもありません。時間はかかりますが、意外と簡単なモノも多くあります
カンパーニャ州のイスキア島には伝統的なうさぎ料理があり、「同じ釜の飯を食った仲」ならぬ、「同じ鍋のうさぎを食った仲」ということわざがあります。鍋の中身は違いますが意味は日本のモノと同じです。皆さんもご友人たちを招いたホームパーティなどで一度煮込み料理にトライされてみてはいかがでしょうか?きっとご友人達の驚きと喜びの声が聞けると思います。
<ミラノ駐在員 本田>