2010 春号 :イタリアの車窓から

reccia(矢)、Rossa(赤い)=赤い矢、という意味の新幹線　Freccia Rossa Alta Velocita

イタリアの鉄道（Le Ferrovie dello Stato）は、1905年4月22日に設立されました。現在運行している電車は、Regionale(レジョナーレ)［鈍行／R］、Intercity(インターシティ)［急行／IC］、Eurostar(ユーロスター)［特急／ES］、Freccia Rossa Alta Velocita`(フレッチャ・ロッサ・アルタ・ヴェロチタ)［新幹線／AV］に大別されます。

Freccia Rossa Alta Velocita`とは近年開発されている新しい路線で、平均時速200kmの速度で運行し、ミラノ―ローマ間を3時間で結ぶというのが売り文句です。 飛行機を利用した場合の手続きや空港から市街地への移動などを考えると確かにミラノからローマへ行くならこの電車を使った方が便利です。しかし、今まで数回乗ったこの路線でも3時間以内に到着したことは一度もありません。

車窓からの風景

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、イタリアの電車というものは時刻表どおりに発着することがまずありません。時刻どおりに発車したかと思うと到着は30分遅れたりすることが頻繁にありますので、時間にはかなり余裕を持って利用されたほうが良いと思います。ただ、車窓から見られる風景はいつまで見ていても飽きません。その土地によって風景が次々と変わります。例えば、トスカーナ州では鮮やかな緑色をした小高い丘がいくつも見られ、エミリア・ロマーニャ州やヴェネト州では辺り一面に広がるブドウ畑の景色が楽しめます。

レストラン車輌

鉄道の旅に欠かせないのが『駅弁』です。
イタリアには残念ながら駅弁はありません。しかし、Eurostar、もしくはFreccia Rossa Alta Velocita`に乗るとレストラン車両があり、そこで食事を楽しめます。 このレストラン車輌を利用するに当たっては、まずカメリエーレ（給仕係）が通常の車輌を歩いて回り、レストランの予約を取りにきます。その時に、レストランで食事したい人は予約し、レストランオープンのアナウンスが流れると指定の車両へ向かいます。

ツナとオリーブのトマトソースペンネ

席に着くとメニューと水、ハーフワインが置いてあります。Primo Piatto（パスタ）は決まっていて、Secondo Piatto（メイン料理）を選びます。 この時のパスタはツナとオリーブのトマトソースペンネでした。本格的なレストランではないため、てっきり出来合いの冷凍パスタが出てくるかと思っていました。しかし、このレストラン車輌にはキッチンが設置されており、出されたペンネはしっかりとしたアルデンテに茹で上げられています。全ての食材の味がちゃんと活かされていてBuono！でした。 メイン料理は鶏胸肉のカッチャトーラ（猟師風）でしたが、これも鶏胸肉は柔らかく、トマトソースも味の濃さがほどよくて、これもBuono！ 付け合わせにほうれん草とジャガイモも出てきてお腹も満足です。

鶏胸肉のカッチャトーラ

ワインはレストランで提供されていたBanfi社のFumaio Toscanaを合わせました。このワインに使われているソーヴィニョン・ブランの酸味とシャルドネのフルーティさのバランスが非常に良く、トマトソースのパスタと鶏肉には非常に良く合いました。トマトソースや肉料理には絶対に赤ワインといわず、こういった組み合わせも一度お試しください。白ワインの爽やかさがいつも口の中を新鮮に保ってくれます。

バンフィ社の白ワインとインテルパン

ちなみに、レストランで提供されているパンはInterpan社といって、モンテ物産でもイタリア産冷凍パンなどを扱っている会社のパンでした。

繰り返しになりますが、イタリアの電車から見られる風景は本当に美しいものです。 食事をしながら外を眺めているだけで贅沢な気分に浸れます。これがレストラン車輌の醍醐味でもあり、少々値段は高くても満足してしまう所以だと思います。

ミラノ駅と駅前広場ミラノ駅と駅前広場

イタリアの鉄道は、日本のそれと比べてやはり危険なイメージがあります。しかし、普段より少し気を付けるだけで、車窓からの素晴らしい風景を楽しむことが出来ます。 機会があれば、是非ともイタリア鉄道の旅、そしてレストラン車輌での食事をお楽しみください。

では、今回はこのあたりで。
Buon viaggio e buon appetito！ (ブォン ヴィアッジョ エ ブォナ ペティート)
「良いご旅行を！そしてよいお食事を！」

＜モンテ物産　ミラノオフィス　 稲田　俊介＞