Buongiorno a tutti!(皆様こんにちは!)
2013年も例年通り、ところかまわず花火が打ち上がり爆竹が破裂する中、無事に迎えられました。
特にローマやミラノなどの大都市ではお祭り騒ぎが激しいところが多く、中心地の各広場が人で賑わう中で、
鼓膜が張り裂けそうな爆音とともに爆竹が飛び交います。
そのためあまりにうるさすぎて年越しの瞬間までよくわからず、
「あれ、もう年明けるのかな?あ、爆竹が激しくなってきた!みんな騒ぎ出した!!
きっと明けたんだ、ワァァァーー!!BUON ANNOOOOOO!!!(あけましておめでとーーー!!!)」
という、なし崩し的なことが起こる場合もあります。
町中の時計の針がまったく正しい時間を指しているためしのないイタリアらしい、
なんともユルイ年の明けかたですね。
その一方で、周囲の誰かれかまわず一緒に乾杯して新年を祝うという姿を見て、これもまたイタリア人らしい、いい一面だなと感じました。
さて、本号はイタリアの伝統的な食べ物、ポルケッタについてご紹介します。
まずポルケッタとは一体何か?からご説明しますと、簡単に言ってしまうと子豚の丸焼き(写真右)です。
ただ、シンプルだからこそ美味しく作るのが難しいものでもあります。
その歴史を紐解くと、今から2000年以上前の古代ローマの頃から食べられていたことがわかります。すっかり暴君のイメージがついてしまった皇帝ネロのお気に入りの食事だったとされています。
ラツィオ州、ウンブリア州、サルデーニャ州などで、厚めに輪切りにしたりパニーニにするなどして伝統的に食べられており、地方によって使われる香草や呼び名(サルデーニャ州ではporcedduポルチェッドゥ)が変わります。
その中でも今回は、イタリアのポルケッタの中で唯一『Porchetta di Ariccia IGPポルケッタ・ディ・アリッチャ アイ・ジー・ピー(イタリア語では「イ・ジ・ピ」)』というIGP(※)の認定を受けている、Aricciaアリッチャのポルケッタを取り上げたいと思います。
※IGP・・・Indicazione Geografica Protetta 保護地理表示
⇒定められた地域原産品を定められた製法・地域で生産、または加工、または調整されたもの。
イタリアの法律で、厳しく細かい規定とともに定められています。
アリッチャは人口約1万8千人の小さなコムーネ(市)です。
ローマから南東に新アッピア街道を進んで行くと40分ほどでアリッチャの街に到着します。
アリッチャの街の手前にはローマ法王が夏の間の避暑地として住まわれるアルバーノ湖に面したCastel Gandolfoカステル・ガンドルフォという街があります。
アリッチャはベルニーニの手によるpalazzo Chigiキージ宮やSanta Maria Assuntaサンタ・マリア・アッスンタ教会が有名ですが、なんと言ってもポルケッタでその名が知られています。
fraschettaフラスケッタと呼ばれるポルケッタ屋が軒を連ね、それ目当てで訪れる観光客も数多くいますし、9月頃にはポルケッタ祭りも開かれています。
先日、弊社がここ最近輸入し始めたDel Ponteデル・ポンテという生産者を訪問しました。
実はこのポルケッタ・ディ・アリッチャIGPを生産している作り手は、片手で数えられる程度しかいないのです。
まず、使用されるのはIGPの規定にもある通り、メスの豚のみです。
これは、メスの方が脂肪が少ないため肉と脂肪のバランスが良く、旨みがあり、ポルケッタ作りに適しているからです。
内臓を取り除き血抜きをしてきれいに掃除された豚が工場に運び込まれると、縦に開いた状態で塩を振って揉み込み、黒胡椒、ローズマリー、ニンニクをまんべんなくかけます(右写真)。
これもIGPの規定で味付けはこの4種類のみ、と定められているのです。
味付けが終わると、口からお尻まで串刺しにするように金属製のポールに縛り付けられ、
「まさに豚が立っている時のそのままの姿」にして、4時間ほどかけてじっくりと窯で焼かれます。(右写真)
焼いている間とそのあとの冷ましつつ休ませている間に余分な脂がすべて落ち、なんと元の体重の半分にまで重さが減ります。
子豚の丸焼きと聞くと脂が重くてずっしり胃に残りそうなイメージですが、この工程を経ているためか意外とパクパク食べられ、胃がもたれません。
さらにじっくり焼いたおかげで皮もパリパリ、ほどよい塩気と香草の香りがついた肉とのバランスが絶妙です!
もし機会がありましたらぜひアリッチャの町を訪れてポルケッタを食べてみてください。
そこまで行かずとも、ローマでも美味しく食べられますよ。
それでは、Buona porchetta! (美味しいポルケッタを!)
モンテ物産 ミラノオフィス
松嶋 直矢