

トスカーナ州リヴォルノ県カスタニェート・カルドゥッチ
1977年
トスカーナ州の港町、リヴォルノから南へ車で50分ほど走った場所にあるボルゲリ地区は、わずか50年で世界的名声を確立し、国内外の著名生産者や資本が続々と進出している、イタリア屈指の銘醸地です。
グラッタマッコ社はボルゲリにおいて2番目に古い歴史あるワイナリーであり、ボルゲリの低地では栽培が難しいトスカーナの地ブドウ、サンジョヴェーゼの栽培にこだわり、国際品種を用いたワイン造りがスタンダードである同エリアにおいて、そのサンジョヴェーゼをブレンドすることで、他社とは一味違ったスーパータスカンのワインを醸造しています。
グラッタマッコワイナリーイメージ
1970年代初頭、サッシカイアの登場により高品質赤ワインの生産地として脚光を浴びるようになったボルゲリエリア。
グラッタマッコ社がここへ進出をしてきたのは1977年でした。創設者であるベルガモ人のピエルマリオ・カヴァッラーリは、グラッタマッコを有名なワイナリーに成長させただけでなく、ボルゲリ全体の成長を常に考え、中心人物として各生産者とノウハウを共有しあいボルゲリの発展に貢献したことが語り継がれています。
その一つの例が、1994年にリリースしたボルゲリ・ロッソD.O.C.のラベルデザインにも表れています。
ワイン名にワイナリー名やファンタジーネームを採用するのではなく、産地である「ボルゲリ(BOLGHERI)」の名称を採用し、ラベルでも大々的にそれを謳っています。ファーストヴィンテージから現在に至るまで一度もラベルデザインを変更しておらず、グラッタマッコ社のボルゲリ・ロッソが「ボルゲリ=高品質なワインの生産エリア」というイメージを普及するのに一役買ったとも評価されています。
2002年にコッレ・マッサーリグループのクラウディオ・ティーパ氏がオーナーとなって以降も、積極的な設備投資や畑の拡張を行いながら、ボルゲリのクオリティや可能性を感じさせるワインを醸造し続けています。
ボルゲリはブドウ畑が平野部に集中しているのが特徴の1つですが、グラッタマッコ社は丘陵地帯の標高の高い場所に自社畑を所有しています。
創業当時の畑は標高100m付近のもので、それが既にこの辺りでは珍しい標高の高い貴重な畑でしたが、2014年に購入したカーサ・ヴェッキアの畑は標高200mにも達し、ボルゲリでは最も標高の高い畑の1つに数えられています。常に海からの風が届くため、非常に風通しがよく乾いており、風通しのあまりよくない平野部とは日中の気温が異なるだけでなく、昼夜の気温差も大きくなるため最高の状態でのブドウの成熟を促すことができます。またボルゲリではカベルネやメルローなど国際品種だけで構成される赤ワインが多い中で、グラッタマッコ社は地ブドウのサンジョヴェーゼをブレンドしています。グラッタマッコ社のフラッグシップワインである “グラッタマッコ・ロッソ”は、1982年のファーストヴィンテージから、比率を変えながらも常にサンジョヴェーゼをブレンドしてきており、年々その割合を増やしています。
標高の高い自社畑のブドウの使用と土着品種サンジョヴェーゼのブレンド。この2つをワイン造りに適用することで、国際的スタイルのワインが多いボルゲリにおいて、グラッタマッコ社のワインはトスカーナ的厳格さと優美さを備えたワインとして際立つ個性を放ちながら、様々なワイン専門誌で常に高く評価されています。
グラッタマッコ社の醸造方法は昔から変わっていません。
収穫期になると、丁寧に手摘みしたブドウを厳格に選果し、開放式発酵樽の"ティネッロ"と呼ばれる700Lの台形のオークの発酵槽に入れます。培養酵母を添加せずとも、天然の酵母が自然と発酵を始めるので、手作業でパンチングダウン(ピジャージュ)を繰り返しながら長期マセラシオンでデリケートな抽出を行い、きめの細かい味わいのワインを実現しています。このようなティネッロを用いた醸造はボルゲリの伝統的な手法であり、サッシカイアも実践していました。
またグラッタマッコ社は創業当時から有機農法でブドウ栽培を行っており、1997年に有機認証を取得。2010年以降は全てのボトルに認証マークが施されています。