2015年10月 1日(木)

フード

レーズィナ産イタリアの『塩トマト』


今年の夏、南イタリアの天気はトマトにとって概ね良い天気だったと言えるだろう。

雨が多く天候不順が続いて苦しんだ昨年と比べれば、大幅にトマトの質は向上し、農家の方々はほっと胸をなでおろしているはずだ。

ホールトマトやダイスカットトマトの缶詰の品質を高水準で保つための難易度は、原料となる生トマトの出来の善し悪しで大きく変わる。原料が悪い時期が続くと、いかに品質を落とさずコスト上昇を最低限に抑えるかで工場は四苦八苦する。

今回ご紹介するのは、その原料トマトの中でも少し特殊な例だ。



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レーズィナはプーリア州の最北端に位置し、レーズィナ湖周辺に広がるトマトの産地だ。

「プーリア州はイタリア有数のトマトの名産地だが、他の土地ではできないトマトがここレーズィナではできるんだ。」

そう自信たっぷりに説明するのは、レーズィナ農業組合長のラッファエレさんだ。

「実はレーズィナ湖は普通の湖ではなく、アドリア海の海水が流れ込む汽水湖なんだ。それによって、周辺の土壌には海水に含まれるミネラルが長い時間をかけて蓄積している。そしてそれを吸い上げたトマトは、ミネラル豊富で甘みがある、素晴らしいトマトになるんだ。通常は地中の塩分濃度が上がりすぎると、トマトは塩害を起こして枯れてしまう。だがレーズィナ湖周辺の土壌はそこまで高濃度の塩分は含まず、収穫量はやや落ちるものの品質は向上するという、絶妙に良いバランスで成り立っているんだ。」



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確かに、他のエリアの畑と食べ比べるとレーズィナ産は甘味がしっかりしている。ラッファエレさんは日本のトマトについての知識はなかったが、イタリア版の『塩トマト』といったところだろうか。ばらつきもあるだろうが、訪問した日に収穫したトマトの糖度は他のエリアよりも1~2割高かった。

「このトマトで作ったトマト缶は、パスタやピッツァのソースにぴったりなんだ。早く日本の皆さんにも味わってもらいたいね!(※下記参照)」

ラッファエレさんは、自分たちの土地でできた特別なトマトを味わってもらうのが待ちきれないようだ。いつもながらイタリア人の郷土愛には圧倒され、感服するばかりだ。

もしどこかでこのトマト缶を見かけたら、南イタリアの太陽と海を思い浮かべながら食べてみてはいかがだろうか。



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