2016年11月 1日(火)

ワイン

3大ボルゲリ! グラッタマッコ

コッレ・マッサーリ社のオーナー、クラウディオ・ティーパさんは、同じくトスカーナのボルゲリエリアにもうひとつ非常に重要なワイナリーを持っている。


それがグラッタマッコ社だ。


同エリアの代表格サッシカイア、オルネッライアとならんで"三大ボルゲリ"と呼ばれている。GM.jpg


▲グラッタマッコのワインはこの4品。右から二つめがフラッグシップの"グラッタマッコ "の赤



「サッシカイアは、デカンター誌の1978年に行われたブラインドテイスティングで、シャトーマルゴーを抜いて最優秀カベルネに選ばれ、"スーパータスカン"としてその名を轟かせた。だが、それ以前にすでにこの土地のポテンシャルに確信を持った初代オーナー、ピエルマリオ・メレッティ・カヴァッラーリさんは1977年にグラッタマッコ社を創業し、サッシカイアを造るテヌータ・サン・グイド社に次いでボルゲリで2番目に古いワイナリーが誕生した。1982年にはワイナリー名を冠したフラッグシップワイン"グラッタマッコ"をリリースしてその品質の高さで世間を驚かせると、さまざまな評価本や品評会で輝かしい評価を受けるようになったんだ。特に2009ヴィンテージは、イタリアワインの5大評価本、ガンベロ・ロッソ、ビベンダ、ヴェロネッリ、レスプレッソ、スローワイン(全て2013年版)で、全てにおいて最高評価を獲得した稀有な4本のワインのうちの1本だ。」



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▲左がクラウディオ・ティーパさん、真ん中がお姉さん、右端が奥さん



クラウディオさんは、いつも冗談ばかり言っては人を笑わせる非常に気さくな人で、


「私はワイナリーのオーナーである以前に一人のワイン愛好家だ。だから私のためにより美味しいワインを造ってくれないとだめだぞ!」


とルカさん(同社とコッレマッサーリ社のチーフエノロゴ)に言っておどけていた。


「三大ボルゲリの中で他の二つとの決定的な違いを生んでいるのは、サンジョヴェーゼだろう。サッシカイアとオルネッライアは、ボルドーでよく使われるカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルドなどの国際品種しか使っていないが、一方グラッタマッコは、カベルネ・ソーヴィニョン65%、メルロー20%に加えてサンジョヴェーゼを15%使用している。この土地では国際品種が良く育ち、高品質なサンジョヴェーゼは作りにくいと考える人もいるが、それは大きな間違いだ。我々は丘の上に素晴らしいサンジョヴェーゼの畑を創業当初から持っていて、このトスカーナを代表するブドウのポテンシャルを最大限まで引き出してブレンドすることで、ただ濃厚なだけではなくエレガントさも兼ね備えた複雑味のあるワインができあがるんだ。」


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▲グラッタマッコの畑。創業当時から今も変わらず有機農法で栽培されている。



グラッタマッコ社でもコッレマッサーリ社と同じく全てビオの認証を取っている、と言っても、認証を取るために栽培方法や醸造工程を変えたということは一切ない。



「グラッタマッコ社は昔から自然な造り方をしていて、それがそのままビオの規定に当てはまっていたので認証を取得した、ただそれだけのことなんだ。醸造方法も昔から変わらない。培養酵母を添加せず、温度調整をしなくても、天然の酵母が自然と発酵を始めてくれる。そしてそのまま、700Lのオークの発酵槽でピジャージュ(櫂入れ)をしながら約3週間じっくりとマセラシオンをするんだ。実は、コッレマッサーリの"ポッジョ・ロンブローネ"(前号参照)はこれに習って造ったものなんだ。」


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▲"ティネッロ"と呼ばれる700Lのオークの発酵槽 



グラッタマッコ社は、ボルゲリエリアで最も古いヴェルメンティーノの畑を持っており、そのブドウを100%使用した"グラッタマッコ・ビアンコ"という白ワインも造っている。


果実味、ミネラル感、心地よい酸が見事に調和しており、厚みはあるが爽やかさもあって、べたつくような重い印象は全くない。この非常にハイレベルなヴェルメンティーノは、5年10年と熟成させても期待を裏切らないだろう。



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▲樹齢約30年のグラッタマッコ・ビアンコのブドウ。ボルゲリで一番古いヴェルメンティーノの畑。



毎年平均15万本造るオルネッライアや、それを更に上回る生産本数のサッシカイアに対し、グラッタマッコは4万本弱しか生産していない。白に至ってはわずか1万本程度だ。


三大ボルゲリは、それぞれがボルゲリを代表するワインであり、ボルゲリを語る上で欠かせない存在だ。どれも飲んだことがない方には、ぜひグラッタマッコを飲んで上質なボルゲリワインを味わっていただきたい。


また、3種全てを比較試飲できる幸運にめぐり合えた方は、サンジョヴェーゼが入ることがどんな違いをもたらすのかを感じ取ってみるのも面白いだろう。




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