• ホーム
  • イタリア情報
  • フランチャコルタに並ぶもう一つのイタリア高級スパークリング"アルタランガ"①

2017年10月24日(火)

ワイン

フランチャコルタに並ぶもう一つのイタリア高級スパークリング"アルタランガ"①

イタリアの高級スパークリングとして、フランチャコルタは日本でもずいぶんと名が知られてきているのではないだろうか。一方で、イタリアに"アルタランガ"というもう一つの高級スパークリングワインがあることを御存知の方はまだ多くないかもしれない。



"アルタランガ"がイタリアの最高格付けDOCG(統制保証付原産地呼称ワイン)に登録されたのは2011年のことだ。ピエモンテ州の南側の山岳地帯をDOCGエリアとして規定し、非常に厳しい規則のもと高級スパークリングが生産されている。実際ここ数年イタリアでは"アルタランガDOCG"のスパークリングワインを以前よりもよく見るようになった。今やイタリア国内では、アルタランガはフランチャコルタと並ぶイタリア高級スパークリングの代名詞となりつつある。



本記事では今回から2回にわたり、このイタリア2大高級スパークリングとも言えるフランチャコルタとアルタランガの違いと、注目のアルタランガの造り手を特集したい。




 『サイのマークのバルバレスコを造っている』、と言えばイタリアでは知らぬ人はいないイタリアトップ醸造家のひとり、ラ・スピネッタ社のジョルジョ・リヴェッティ氏が近年アルタランガのスパークリングを造っている。昨年のVENTOでも取り上げた、コントラット社というスパークリングの名門老舗(2011年よりジョルジョ・リヴェッティ氏がオーナー)を、更なる品質の向上を目指し、一部だけでは無く全てアルタランガエリアのブドウだけを使用する生産者へと大転換を行ったのだ(※1)。



※1 2012年よりブドウは全てアルタランガ産。



DSC_0572.JPG


▲ラ・スピネッタ社のジョルジョ・リヴェッティ氏




彼にフランチャコルタとアルタランガの違いを伺う機会があった。



 「まずは地形の違いが大きいね。フランチャコルタのエリアはなだらかな丘陵地帯で標高も200m~300mほどだ。それに比べてアルタランガは標高が高く、400m~800mくらいの高さまで畑が作られている。地形も緩やかな勾配のフランチャコルタエリアに対し、アルタランガの畑はかなり急勾配だね。平均気温もアルタランガのほうが低いし、昼夜の寒暖差も大きい場所なんだ。この気候環境はアルタランガのスパークリングに綺麗な酸をもたらす。これはとても重要なことだ。スパークリングワインが偉大な熟成をするには酸は不可欠だからね。」



 標高や平均気温はブドウの生育、ひいてはワインの香り・味わいに大きな影響を与える。実際フランチャコルタとアルタランガを比べた時、比較的標高が低く温暖なフランチャコルタエリアからはフルーティな果実味がもたらされやすく、フランチャコルタより標高が高く平均気温の低めなアルタランの方が白い花を基調とする香りや締まった酸をより感じやすい。




DSC_0568.JPG


▲急斜面に広がるアルタランガの畑




 「アルタランガはフランチャコルタよりも熟成規定が長いのも違いだね。どちらも瓶内二次発酵のシャンパーニュ製法ではあるけれど、フランチャコルタは18ヶ月以上の熟成を規定しているのに対し、アルタランガは30ヶ月以上の熟成が義務付けられている。シャンパーニュの熟成規定は15ヶ月以上だから、どれほど厳格な規定なのか想像してほしい。コントラット社の場合はさらに長く熟成させていて、今は最低でも48ヶ月以上熟成をさせたものをリリースしている(※2)。


 


 これに加えて、コントラット社スパークリング用のブドウは非常に厳しく選別し収量を制限することで、1ヘクタールあたり5~6トンにまで抑えている。偉大なワインを造るにはまず畑から、だ。最高のブドウを選別することが最も重要なんだ。」



 一般のスパークリングワイン用のブドウの収穫量平均は10トン~12トン前後。最高のブドウを選別するとはいえ、コントラット社は一般的な収穫量の約半分の量まで選別している。ここにもジョルジョ・リヴェッティ氏の品質への徹底したこだわりが感じられる。



※2 2011年より熟成期間を延ばし、2012年ヴィンテージ以降からは最低48ヶ月。



DSC_0580.JPG


▲最低48ヶ月もの長期瓶内熟成を行うのはコントラットのアルタランガならでは





 「コントラット社のスパークリングワインはフランチャコルタやシャンパーニュにだって負けない品質だという自信があるし、イタリアでも最高のスパークリングワインの一つであると自負している。シャンパーニュ好きの方たちにも是非飲んでみていただきたいね。」とジョルジョ・リヴェッティ氏は語る。




 フランチャコルタとアルタランガは、今やイタリアを代表する2大高級スパークリングと言っても過言ではない。しかし、その違いは比べてみると恐らく想像以上にはっきりと感じられるだろう。機会があれば是非、2つを贅沢に比べてみていただくと面白いのではないだろうか。



コントラットボトル.jpg


※コントラットでは2013ヴィンテージから順次DOCGに移行する予定だそうです。


※左から『フォー・イングランド』、『ブラン・ド・ブラン』、『リゼルヴァ・スペシャル・キュヴェ』、『ミッレジマート』、『フォーイングランド ロゼ』





★VENTOの記事は『イタリア好き』にも連載されています。 ↓↓↓


『イタリア好き』って?


人が好き、旅が好き、出会いが好き、食べることが好き、愛することが好き、楽しいことが好き、そして何よりもイタリアが好き。


そんな人に送る、イタリア好きのためのフリーマガジンが『イタリア好き』です。


http://italiazuki.com/category/vento/


 
 

カテゴリーを選ぶ

過去のVENTO2003~2013年までのバックナンバーはこちら