2018年10月 1日(月)

フード

シチリアの天然海塩"モティア"

まだまだ強い日差しが射す9月上旬のシチリア。イタリアでも有名な海の塩田を見るために、シチリア島西部のトラパニに向かった。ここはエガディ諸島などリゾート地としても有名な場所。世界から観光客が訪れ、ファヴィニャーナ島の海の透明度はイタリアでも随一だ。
風光明媚なこのエリアでは紀元前400年から伝統的な塩作りが今も変わらず行われている。


訪れたのはマルサラ酒で知られるマルサラとトラパニの間、目の前には小さな島“モティア”が見える塩田だ。所々に風車があり、見渡す限り島と海と塩田。北側には遠めに天空の町とよばれるエリチェの町も見える。


出迎えてくれたのは、塩製造会社ソサルト社のお二人。リラックスした表情でソサルト社の塩田の話をしてくれた。

「素敵な場所だろう?この辺りの海は島に囲まれた潟になっていて、海の深さは1m~1m20cmの遠浅で、とても塩作りをしやすい環境なんだ。また、私たちはここに塩の博物館も持っているんだよ。」

 
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▲左からヴィタリアーノさんとロベルトさん。

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▲近くを流れる運河は、昔はトラパニの町に塩を運ぶために使われていた。今は島に渡る観光船が通る。

 

風車が併設された博物館へ。ソサルト社の塩やシチリアの陶器を販売するショップがあり、風車小屋の中も見ることができる。


そもそもなぜ塩田に風車があるのか?
「1700年頃は、収穫した塩を細かくするための臼挽きとして風車を使用していたからさ。他にも、海水を塩田から塩田へと移動させるための動力としても使うなど、風車は塩造りに欠かせないものだったんだ。今ある風車は、当時使っていた風車を修復したものだよ。」

 
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▲風車を利用した昔の塩の臼挽き機

 

続けて、ソサルト社の塩造りのこだわりについてロベルトさんは次のように話す。

「ここの塩作りは、天然の海水を乾燥させるものだけ。海のミネラルをそのままたっぷりと含んだ甘みのある塩が出来上がる。塩作りの時期は太陽の日差しの強くなる7月下旬から9月。シチリアの太陽が海水の蒸発を早め、いくつもの区画に分かれた塩田を何度も移し変えながら塩分濃度3.5%の海水が段階的に24%まで濃縮され、最終的に塩の結晶が底に12~15cm溜まるんだ。
フランスやポルトガルにもこうした塩作りをしている地域があるけど、そこの塩は少し灰色ににごっている。これは塩の結晶の層の厚さが薄いので、塩を採掘する際に土が混じってしまうからなんだ。シチリアの太陽はとても強く、また常に風が吹くため海水の蒸発が早く塩の結晶化が進んで層が厚くなり、真っ白な海塩ができるというわけさ。早くと言っても、塩ができあがるには50~60日もかかるんだけどね!」

天日干しが終わった塩が積まれた、塩の山に案内してもらった。
そのまま手に取り、口に含むとまるで塩飴のような甘みと自然な塩味、そしてミネラル感が感じられる。
「“モティア”の天然海塩は、パルマの生ハムやシチリアのアンチョビ造りでも多く使われているんだ。素材そのものの品質にこだわる職人たちにも選ばれている証だと思っているよ。」

 
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▲真っ白な塩の山

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自然豊かなこの環境を求めて、夏は多くの観光客が訪れ、10月にはフラミンゴも飛来する。そんな、風光明媚な地と呼ぶにふさわしいこの塩田で造られているソサルト社 “モティア”の塩。

案内をしてくれたロベルトさんはこう話す。
「どうだい、わかっただろう?塩にも語るべきことがたくさんあるんだ。ぜひ今度、日本でも塩のセミナーをやってみたいね。」


例えば、パスタを茹でるときに使う塩を変えることが、パスタの味全体に与える影響は少なくない。そのくらい塩が料理の中で大きな役割を担っていることに、“モティア”は気づかせてくれる。

シェフたちからの信頼も厚く、その味に魅了され家庭でも愛用している人は多い。
もし“モティア”の塩を使う機会があれば、トラパニの塩田風景を思い浮かべながら、素材の旨味を存分に引きだすこの塩のポテンシャルをぜひとも感じてみていただきたい。

   
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塩田のシンボルでもある風車とフラミンゴがあしらわれている“モティア”のパッケージ

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