2019年12月10日(火)

ワイン

ウマニ・ロンキ社マッシモ会長が語る"Pelago(ペラゴ)"誕生秘話

日本に輸入されて40年以上が経つ、イタリア中部マルケ州のワイナリー、ウマニ・ロンキ社。
現会長マッシモさんの義父の友人が創業したワイナリーを1950年代に受け継いだのが始まりだ。


創業以来、マルケ州の地ブドウであるヴェルディッキオ種とモンテプルチアーノ種を主体に様々な高品質ワインを造り続けているだけでなく、約20年前からアブルッツォ州にもブドウ畑を持ち、マルケ州とアブルッツォ州を代表するリーディングワイナリーである。

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▲現会長のマッシモさん

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▲右端がマッシモさん、左端がマッシモさんの義父。真ん中が創業者のジーノ・ウマニロンキさん

 

訪問日の11月20日は、マッシモ会長が自ら出迎えてくれ、ワイナリー設備の案内からテイスティングワインのコメントまで熱心に語ってくれた。


「ちょうど一昨日84歳の誕生日を迎えたんだ。息子のミケーレ(現社長)は今週出張だから、こないだの日曜日に家族みんなでお祝いをしてもらったよ。マルケ州産の白トリュフをタリオリーニのパスタにかけてね、美味しかったよ。」


そう嬉しそうに語るマッシモ会長は、その年齢を感じさせないくらいお元気で、ワイナリー内を歩き回る足取りも軽やか。


また、ワイナリーの礎を作り上げた人だけに、その話は興味深いものばかりだ。
その中から今回は、スーパーマルケと言われる同社のトップワイン、ペラゴの誕生秘話をご紹介しよう。

 
   
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▲ペラゴ

 

「ある時私のマルケの知人から、サッシカイアを生み出したかの有名なエノロゴ、ジャコモ・タキスが休暇でマルケに来るからと紹介してもらい、親交を深める機会に恵まれたんだ。
私が釣り上げたスズキをレストランに持ち込んで一緒に食事をしたなんてこともあったよ。


彼のマルケ滞在中に、私たちは良好な関係を築くことができた。


私は彼にウマニ・ロンキ社のコンサルタントになることをお願いしたんだが、その時彼はすでに年金生活に入っていたので、最初は断られてしまった。
それでも粘り強く依頼を続けたところ、引き受けてもらえることになり、それから彼は結果的に10年もの間ウマニ・ロンキのコンサルタントを務めてくれたよ。


そんな中生まれたのが、土着品種モンテプルチアーノと国際品種のメルロー、カベルネソーヴィニョンを合わせた“ペラゴ”さ。
当時すでに国際品種の造り手として実績をあげていたジャコモ・タキスがうちのモンテプルチアーノのワインを試飲してこのブレンドを提案してくれたんだ。」

 
 

マッシモ会長は次のように続ける。


「このワインはワイナリーの歴史を変えた。ファーストヴィンテージの1994年がいきなりロンドンのインターナショナルワインチャレンジ(※1)で最優秀赤ワイン賞を受賞したんだ!
その受賞の知らせを受けたとき、私と息子のミケーレ(現社長)はボルドーのワイン展示会に出展中だった。具体的に何の賞を獲得したかは知らされず、とにかくロンドンの授賞式に来いと言うので、すぐさまロンドンに飛んで、受賞パーティーに参加したんだ。約500人の参加者の中には、アンジェロ・ガヤやアンティノリなどの有名ワイナリーもいたよ。


そしてパーティーの最中に突然会場の照明が落とされ、最優秀赤ワイン賞の発表。パッと壇上のワインラベルにスポットライトが当てられ、ペラゴのボトルが現れたのさ。


この受賞のすごいところは、世界5,600本のワインから選ばれた1本であるということ。それからファーストヴィンテージでいきなり最優秀を勝ち取った初めてのワインだったってことだよ。
イタリアに帰ってきたときの反応はすごかったね。イタリア国営放送のRai1が取材に来てたくらいさ。そしてワイナリーにはペラゴを売ってくれという電話がひっきりなし。


ある時は、世界的に有名な車メーカーのフィアットグループの社長から、20ケース欲しいと言われたこともあったよ。でもね、その時言ってやったのさ、現地の酒屋から買ってくれってね。
これほど大きな賞を受賞した後でも、うちはそれまでの取引先や値段を変えることは一切しなかった。今まで築いてきたお取引先やお客様との信頼関係を大切にしたかったからね。」


※1イギリス・ロンドンで毎年4月に開催される権威あるワイン品評会

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▲ペラゴの歴代のラベル。(現在は1番手前のデザイン)

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▲コーネロ山とアドリア海

 

ウマニ・ロンキ社の歴史を大きく変えたこのペラゴは、重厚なタンニンと凝縮した果実味が造り出すしっかりとした骨格が特徴で、単に力強さだけでなく、エレガントさも持ち合わせたまさに逸品。
ファーストヴィンテージすら若いと感じさせるその計り知れないポテンシャルに、このワインの偉大さを感じずにはいられない。


古いイタリア語で「大海原」を意味する「Pelago(ペラゴ)」。
ラベルには青と水色のグラデーションの3本ラインが筆ですっと引かれている。これはまさにアドリア海の海の色を表したものだ。美しいグラデーションが日の光に映え、クロアチアやギリシアからの船がアンコーナの港に入ってくる光景はずっと眺めていたくなる。

                                                
そんなアドリア海の大海原を思わせるふくよかな飲み口のペラゴ。
豊かな気持ちで1年を締めくくるための、年末の特別な1本にぜひおすすめしたい。

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