2021年05月 6日(木)

ワイン

ガンベロ・ロッソ誌で高評価連発 レ・モンデ社に迫る!

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今年よりモンテ物産での取り扱いが始まったフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州(以下フリウリ)のレ・モンデ社。
近年、ピノ・ビアンコが5年連続でガンベロ・ロッソ誌最高評価のトレ・ビッキエーリを獲得するなど、フリウリの中でも特に注目のワイナリーのひとつと言える。今回はこのレ・モンデ社の歴史、畑での取り組み、醸造哲学に触れてみたい。


レ・モンデ社が位置するのは、ヴェネト州とフリウリ州の州境で、フリウリ州ポルデノーネ県プラータ・ディ・ポルデノーネという町の、その名もレ・モンデ地区にある。
住人80名ほどの非常に小さな地区で、中世の1600 年代にMunda(「ムンダ」と読み、保護された土地という意)と呼ばれていた名残でレ・モンデという名になった、といわれているそうだ。


まずは、ワイナリーが所有する畑についてご紹介しよう。


フリウリで造られる有名なワインというと、コッリオやフリウリ・コッリ・オリエンターリなどが挙げられるが、これらのワインはポンカ(※)と呼ばれる土壌から造られる。
それに対して、レ・モンデの畑は、リヴェンツァ川とメドゥーナ川の2つの川に挟まれた、堆積土壌に位置している。
石灰岩、粘土や泥土で構成された、この堆積土壌のエリア全体を『クリュ』と表現しており、同社が行った地質調査の結果からも、この堆積土壌のみが持つ特徴的な土壌であることが裏付けられている。
(※)ポンカは粘土質、シルト(砂質と粘土質の間くらいの粒度の土壌)、フリッシュ(砂岩や泥岩などの割れやすい四角い石のようなもの)などが混ざった土壌と言われる。


現在、この『クリュ』に108haの畑を所有。海からの距離が近く、日中は温暖な海風が、夜間はプレ・アルプス山脈から冷たい風が吹き、寒暖差を生み出すエリアとなっている。


このような環境で造るワインに込められる思いはどのようなものか?レ・モンデのワインを造る3人のキーパーソンに話を伺ってみた。


まずは、エノロゴのジョヴァンニ・ルッゼネ氏。
「レ・モンデが大切にしていることは、我々が住むフリウリ、いやレ・モンデを表現することだよ。フリウリワイン全体的にいえることとして、近年は温暖化の影響でアルコール度数が高くなり、より果実味が凝縮して重たいワインになっているという流れがある。そのような中で、レ・モンデは自然と向き合いつつ、フリウリの大地で育つ品種の特徴をうまく表現しながらクリーンでエレガントなワイン造りを目指している」
という。


そのために、最新の醸造設備を導入し、収穫したブドウを15分以内に冷却、各工程で温度管理を行い、徹底的にブドウの酸化を防いでいる。
写真からも分かるとおり、ワイナリーを中心にすべての畑が広がっているため、収穫後すぐにブドウを搬入できる。

 
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▲ワイナリーの前に広がるブドウ畑

 

「ただし、良い設備があったとしても、良いブドウが収穫できなければいいワインは造れない。」とジョヴァンニ氏は続ける。では、畑ではどのような工夫がされているのであろうか。


例えば、水はけ。
レ・モンデで最大の成功を収めているピノ・ビアンコは、実は湿気にとても弱く、雨が降り、畑に水たまりができてしまうと、それだけで病害の原因となり得る。そこで、深さ90㎝のところにチューブを埋めて排水路を作り、湿気対策を施している。この排水路のおかげで、ブドウの根が地中の水分を適量吸収できることにも役に立っている。

 
   
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▲畑での作業風景

 

続いて、営業のマッシモ・フルラン氏の話。


「ガンベロ・ロッソ誌での高評価をきっかけにレ・モンデの知名度は徐々に高まってきていると実感しているよ。
2021 年版では光栄なことに最優秀コストパフォーマンス賞にも選ばれたね。元々アメリカ市場では存在感があり、フリウリのワインとしては、最も輸出本数が多いんだ。近年は嬉しいことにイタリア国内でも飲みやすさや親しみやすさ、そしてコストパフォーマンスの高さが評価されて、Villa CrespiやTorre del Saracinoなどの星付きレストランでもオンリストされることがとても多くなってきたよ。


一度飲んだら、もう一度飲みたいと思わせる魅力があるワインだと思うし、フレッシュでミネラル感もしっかり感じられ、飲み疲れせずに食事も美味しく進められる。この辺りはヴェネツィアが近いことからもわかる通り、海にも山にも近いんだ。レ・モンデの白ワインによく合わせる料理はイカ墨のリゾットやスパゲッティ、ソフトシェルクラブのフリット、新鮮な魚があればタルタルにしても相性がいいね。よりカジュアルに、オーナーのアレックスが手作りするサラミをつまみながらのアペリティーヴォも最高だよ!また日本からイタリアに来れるようになったら、是非多くの人にワイナリーまで足を運んでもらいたいね。レ・モンデのワインはこんな風にカジュアルな飲み方から、星付きレストランの繊細な料理とも合わせられるので、マーケットへのアプローチの仕方もたくさんあるんだ。」


と、次々とアピールしてくれた。

 
   
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▲2021年受賞記念

 

最後に、レ・モンデのオーナー、アレックス・マッカン氏を紹介しよう。


同社が急速に知名度を上げ評価を高めた最大の理由は、2008 年に現オーナーのアレックス・マッカン氏がワイナリーを買収したことがきっかけである。
Friul Intagli Industries S.P.A という家具などを製造する会社のオーナーファミリーの一員であるアレックス氏は、デザイン系の学部を卒業しマーケティングを担当していた。
アレックス氏は語る。


「もともとフリウリの自然が好きで、子供の時は祖父母の農業の手伝いをしたり家畜の世話をしたり自然と共に育ったんだ。ワイナリー周辺に工場や本社があるので、毎日通っていたよ。
2008 年のある朝いつも通り会社に出勤する途中、ワイナリーに見慣れない張り紙があって、よく見ると売りに出しているという内容だった。そのときに、これは投資をしなければいけないと、直感で使命のようなものを感じて、迷わず買収したよ。ようやく自分が本当に挑戦してみたかったワイン造りに携わることができると決まり、その日から目標は最高のクオリティーと僕が育ったフリウリの自然を表現すること、そして多くのワイン好きに飲んでもらうことになったよ。毎日近くからブドウの生育を見守れるようにワイナリーにある館を改修して家にして住んでいるんだ。幸運と優秀なチームにも恵まれ、徐々に形になってきていると実感しているけれど、まだまだ始まったばかり。これからさらに大きな野心をもって成長していきたいと思っている中で、日本市場で新たなパートナーができたことは本当に嬉しいよ!イタリアとの往来が再開したらできるだけ多くの人にワイナリーを訪れてもらいたいね。ワインはいつ飲んでも美味しいけれど、大勢で飲むワインはやはり格別だからね!」

   
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▲左:営業 マッシモ氏 中央:オーナー アレックス氏  右:エノロゴ ジョヴァンニ氏

 

「フリウリワイン」に読者の皆様はどのようなイメージを持たれているだろうか?レ・モンデのワインは、今、イタリアで求められることが多くなっている「Bevibilita’(飲み疲れしない飲みやすさ)」を表現した味わいであり、一度口にして頂ければ実感して頂けるであろう。


何より、デザイン系出身のオーナー・アレックス氏による、センスの良さとフリウリへの愛が、ワインにも表われているのではないだろうか。

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