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2014年11月30日(日)

フード

バルベーラ ~ 伝統を大切に、革新的なことにも挑戦するオリーブオイルメーカー 

バルベーラ社は、シチリア島北西部にある州都パレルモから西に90kmほど進んだところにあるクストナーチという小さな町にある、高品質オリーブオイルの造り手だ。
創業者であるロレンツォ・バルベーラさんから4代目にあたる、マンフレディ・バルベーラ社長が出迎えてくれた。白髪でよく日に焼けた精悍な顔つきのマンフレディさんの第一印象は、厳格なシチリアの頑固オヤジだ。
 
2014年はバルベーラ社の120周年ということもあり、世界各国の輸入元やジャーナリスト、記者、テレビの取材などを受ける4代目マンフレディ・バルベーラ社長
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「海外ではあまり知られていないが、シチリア州は、プーリア州、カラブリア州に続いてイタリア国内第三位のオリーブオイル生産量なんだ。ただし量だけが増えて質が低下するのは避けたい。そこで我々はCofiol(オリーブ栽培者及びオリーブオイル生産者協会)という協会を作り、シチリア島のオリーブ農家や搾油所が一致団結して高品質なオイルを造れる環境を整えたんだ。」
 協会には5000軒以上のオリーブ栽培農家が加盟しており、シチリア内に搾油所が42箇所もある。
 
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 「オリーブの実が傷つかないよう全て手摘みで収穫を行っているが、もう一つ重要なのは収穫後どれだけ早く搾油をするかなんだ。5000軒で丁寧に選別しつつ収穫されたオリーブは、42箇所のうちの最寄りの搾油所ですぐに搾油される。生産量が多くなっても高品質を保てる秘訣はこれだね。また、本社があるこのクストナーチの搾油所には、世界でもここにしかないオリーブ粗砕機があるんだ。この機械はオリーブを潰す際に、「打ちつぶし」、「ローラー」、「臼挽き」、「種抜き」という4つの異なる潰し方ができる。オリーブは潰し方によって辛味、苦味、甘み、口当たりなどが変わるんだ。オリーブの品種や状態を見ながら4つの異なる潰し方のどれを使うか、またはどう組み合わせるかを選ぶんだ。」
実際に原料オリーブは同じで潰し方の異なる2つのオイルを試飲したが、全く違う印象を受けた。
 
収穫したばかりのオリーブの実。これから風を使って枯葉や枝を取り除いて、洗浄に進みます。
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プレス向けにオリーブオイルの試食を準備する様子。
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「バルベーラ家は父と同じ名前を長男につける習慣がある。だから2代目と4代目の私の名前はマンフレディ、初代と3代目、そして5代目となる私の長男は皆ロレンツォという名前なんだ。現在世界中で非常に高い評価を受けているロレンツォシリーズは、シチリアの最高のオリーブを使って息子に捧げるオリーブオイルを造りたいという私の思いから、まず5代目ということでLorenzo No.5を造ったんだ。その後、父に捧げるLorenzo No.3ができ、そして創業者に捧げるためにLorenzo No.1を造るようになった。もしかしたらそのうちManfredi No.4なんていうのができるかもしれないね!」
これまでずっとオリーブオイルへのこだわりを熱く真面目に語り続けてきたマンフレディさんだが、息子の話を交えたとたんに笑顔になり、家族想いの優しい父親の顔になった。
 
「イタリアで100年以上続いている名だたるオリーブオイルメーカーの中で、我々は唯一創業者一族が経営を続けるメーカーなんだ。1900年のパリ万博、1904年のセント・ルイスで金賞を獲得して世界中にバルベーラ社という名前が知れ渡った。当時はオイルをガラスのボトルに入れて売るなんて誰も考えていなかったが、1910年に2代目のマンフレディ・バルベーラは世界で初めてオリーブオイルを瓶詰めにして販売し始めたんだよ。こういった歴史あるメーカーであるという責任感と使命感を胸に、我々は高品質なオリーブオイルを造り続けることを約束するよ。」
 
伝統を大事にしながらも、革新的なことにも挑戦する。バルベーラ家がこの精神を受け継ぎ続ける限りは、安心して彼らの美味しいオリーブオイルを味わえるだろう。
 

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