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2016年09月 1日(木)

ワイン

地ブドウのもつ魅力を最大限に引き出す マルケ&アブルッツォ州の最高峰ウマニ・ロンキ

マルケ州、と聞いてトスカーナの東側にある州だとすぐに思い浮かんだ人はイタリア通だ。

同州の土着品種(地ブドウ)はヴェルディッキオやモンテプルチァーノで、今でこそ世界中で当たり前のように売られているが、この州のワインを一躍有名にしたのはウマニロンキ社だと言っても過言ではないだろう。

「1970年代からすでに畑の改善や収量制限などによってワインの品質は向上していたが、土着品種のモンテプルチァーノとカベルネ・ソーヴィニョンに少しメルローを加えた“ペラゴ”が高い評価を受けたことで、世界中にウマニロンキ社とマルケ州の名前が広まったんだ。」そう説明するのはウマニロンキ社のCEO、ミケーレ・ベルネッティさんだ。

 

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▲ミケーレさんとマッシモさん

 

 

ミケーレさんの祖父が、創業者ウマニロンキさんからワイナリーを買い取り、父のマッシモさんとミケーレさんの代で飛躍的に生産量が増え、それに伴って品質も向上した。

「1991年から2001年までの間、醸造コンサルタントを務めていたのは、“サッシカイア”、“ソライア”、“ティニャネッロ”などを生み出した伝説的な醸造家、ジャコモ・タキスさん(今年2月に惜しまれつつ逝去された)だ。彼の発案で1994年に初めてリリースした“ペラゴ”が、 世界で最も厳しく、権威があると言われる品評会“インターナショナルワインチャレンジ”で、7000本まで厳選された世界中の名だたるワインの中から3つのNo.1を同時に獲得したんだ!それも、ベストニューワイン賞(全てのファースト・ヴィンテージのワインの中でNo.1)、最優秀イタリアワイン、最優秀赤ワインという非常に栄誉ある賞だ。」

嬉しそうに話す息子ミケーレさんの傍らで、マッシモさんは故ジャコモ・タキスさんとの思い出に浸るように“ペラゴ”のボトルを見つめて微笑んでいた。

 

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▲ ペラゴ

 

2002年以降は、まさに着任したその2002年のガンベロロッソ誌で“最優秀エノロゴ(醸造家)”に選ばれたジュゼッペ・カヴィオラ氏が醸造コンサルタントを引き継ぎ、この上なく贅沢なバトンタッチとなった。

「“ペラゴ”の成功はもちろん喜ばしいことだが、ずっと我々を支えてきてくれたのは、赤はモンテプルチァーノ、白はヴェルディッキオという土着品種だ。この二種類のブドウの品質を高いレベルで保ち続けたのが、これまでの成功につながっているんだと思う。」

赤ワインでは、厳選されたモンテプルチァーノだけを使用したトップの“クマロ”、漫画「神の雫」がきっかけで爆発的に売れた“ヨーリオ”、“サン・ロレンツォ”、“ビアンキ”など、白ワインでは、ガンベロロッソ誌で2009年ヴィンテージが白ワイン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた“カサル・ディ・セッラ・ヴェッキエ・ヴィーニェ(樹齢の高い樹)”、“カサル・ディ・セッラ”、“プレーニオ”など、ウマニロンキ社は幅広い価格帯で土着品種を前面に出した高品質ワインを造り続けている。

ラベルを見れば、どこかで飲んだことがある、という方も多いのではないだろうか。

 

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▲ヴェルディッキオ

 

186_z_Montepulciano.jpg▲モンテプルチアーノ

 

 

「“カサル・ディ・セッラ・ヴェッキエ・ヴィーニェ”はヴェルディッキオ100%で、熟成は木樽を使わずステンレスのみだ。ヴェルディッキオ本来の味とポテンシャルをストレートに表現したこのワインが最優秀白ワインとして評価されたのは、本当に嬉しいよ!でも、もちろんここで満足して歩みを止めることはないよ。なにが改善できるかを常に皆で話し合って実践している。マルケ州のワインの良さをもっと色々な人に知ってもらいたいんだ!」

地ブドウの魅力あふれる彼らのワインをまだ飲んだことがなければ、一度飲んでみる価値はあるだろう。ウマニロンキ社のワインはどれを飲んでも、「田舎の粗野な味」ではなく、地ぶどうの特徴を保ちつつ洗練された味わいを楽しんでいただけるはずだ。

 

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